Nexton新ブランド「Nameless」その第1作目となる2018年10月26日発売予定「DeepOne」
新本格バトルビジュアルノベルと銘打つ、本作品はどのようにして生まれたのか。
制作総指揮・脚本の堀ノ内遊女氏
原画担当の夏彦氏
演出担当の月織氏
「DeepOne」制作コアメンバーの3名に今回は対談形式で、制作過程やそれぞれの想いについて聞いた。
(インタビュアー:P.i.P)
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【P.i.P】 ・2018年10月26日に発売される今作「DeepOne」はどのように企画始動となったのでしょうか? |
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企画始動は……たしかLuxury(http://luxury.nexton-net.jp/_brand/index2.html)の
「おお勇者よ~」の発売後すぐだったので、2015年の8月くらいからですね。 |
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ですね。ほら、例の方針発表会でのプレゼンが初お披露目だったから(笑) |
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あはは、しましたねえ(笑) |
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したねぇ……あの時ブチまけちゃったんだよねぇ(苦笑) |
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【P.i.P】 ・方針発表会といいますと? |
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ネクストンは10月に期が変わるのんですけど、その時に大阪のホテルを借りて全社員・スタッフが
一堂に会して次期方針の発表会に参加するんですよ。 |
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ホテルのフロアを借りまして、そこにこう50人くらいの社員がずらら……って。 |
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そんな衆人環視のなか、壇上に立って発表させられ……じゃなくて、したんですね。
DeepOneの企画プレゼンを(笑) |
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【一同】 笑 |
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【P.i.P】 ・それはすごい緊張されたでしょうね。ネクストンでの企画発表は、どのブランドのタイトルも
そのような風に行うものなんですか? |
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いや、全然そんなことはないですよ。あくまで方針発表会はBOSSが次期経営方針を社員に発表する場ですから。 |
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普通は毎月行う企画プレゼン会議で発表しますね。 |
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なのにねぇ。どうしてああなっちゃったんだろうねぇ……。 |
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【P.i.P】 ・それだけBOSSこと鈴木社長のご期待が大きかったということでしょうか(笑) |
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そうだったら光栄ですけどどうなんでしょう(苦笑)。
自分としては正直あまり目立ちたくは……と思ってましたけど。 |
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いいんじゃないですか? あの時のハッタリ感があったからこそ、社内外を巻き込んで
ここまで大規模プロジェクトになったわけですし(笑) |
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いやまあ、たしかにハッタリだったけども! |
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「タイプムーンさんを目指したい!いずれは超えたい!」は衝撃的でしたね(笑) |
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ああああああああああ!!!(身もだえしながら) |
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【一同】 笑 |
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【P.i.P】 ・そんなプレゼンしたんですか(笑)それは皆さん驚いたんじゃないでしょうか。
あ、もしやそれが、例のTYPE-MOON武内代表の推薦文につながるんですか? |
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あくまで結果的にですけど、そうなっちゃいましたね。人生なにがあるかわからないものです(笑) |
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【P.i.P】 ・公式サイトや雑誌などでもとにかく目を惹く衝撃的なTYPE-MOON代表・武内祟さんのコメントですが
どういった理由から推薦文をお願いすることになったのでしょうか? |
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いや私自身まさか、あのTYPE-MOONの武内代表からご推薦をいただけるとは
まったく思ってなかったんですよ。 |
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「タイプムーンさんを目指したい!いずれは超えたい!」って、まさにその当人じゃないですか!(笑) |
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ああああああああああ!!!(さらに身もだえしながら) |
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【一同】 笑 |
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さておき、真面目な話をすると
「なにが一番バトル作品好きのユーザーを惹きつけられるんだろう」と考えた結果なんです。
〝Nameless(ネームレス)〟は新ブランドです。
そしてバトル物の一番の肝は、やはり最高品質のシナリオです。
けど、シナリオはその性質上、とにかく販促として武器にしづらいんですね。 |
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【P.i.P】 ・そうですね。結局「買ってプレイしてみてください」になってしまいますものね。 |
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ええ。自信はもちろんあります。
けど、ユーザーさんからしてみたら、本当に面白いの?とやはり半信半疑になってしまうのは当然だと思います。
では、どうすれば一見してユーザーさんに「おおっ!!!」と期待してもらえるか。
そのひとつの答えとして「誰もが認めるバトル物の雄・TYPE-MOON代表からお墨付きがあったらどうか」
という結論に行き着いたんです。 |
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【P.i.P】 ・私も一目見て「おおっ!!!」ってなったので、効果は覿面だと思います(笑)
ですが、そうは言っても欲しいと思って、そう簡単にもらえるものではないと思いますが |
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もちろんその通りです。
推薦文には相応の責任が伴いますし、何よりお相手は業界最高峰のバトルノベルの重鎮ですから。
でも、だからこそDeepOneという作品には、それだけのポテンシャルがあるのだという
凄まじい説得力になっていると思っています。
まだ実績のない新ブランドではありますが
「あのTYPE-MOON代表から期待をしていただけるだけの作品です!」と自身をもって言えますので
どうかユーザーのみんさんに期待してもらえたら嬉しいですね。
それにしても、あの時のビッグマウスプレゼンが、まさか本当にここまで大きくなるとは……
つくづく人生なにがあるかわからないですね。
いやまあ、そういう感想は、ちゃんとDeepOneを世に出してユーザーさんに喜んでもらってから
言いなさい、と思いますけど(笑) |
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【一同】 笑 |
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大いに結構じゃないですか。どれだけ凄いことを思っていてもちゃんと口にしないと作品は形になりませんよ。
何より堀ノ内さんが日々ワクワクするディレクションをしてくれるから周囲も感化されて、どんどんDeepOneは
大きくなっていったんですから。 |
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そんな「作り手のワクワクを形にしましょう!」っていうのが、今やNamelessの制作方針ですものね。 |
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みんなが助けてくれたお陰でそうなりましたね。こんなに充実した仲間や制作環境なんてそうそうないです。
本当にありがたい限りです。そしてそのワクワクをユーザーさんにも届けられるよう、仲間の想いを
実現するのが制作総指揮の使命ですからね。
最高の作品を届けられるよう、今よりももっとDeepOneを大きくしたいと思ってます。 |
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【P.i.P】 ・私も大いにワクワク期待しながら待っています!
ところでDeepOneのメイン原画を担当されている夏彦さんは、どういった経緯で起用されたのでしょうか? |
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制作コアメンバーは顔を突きつけて一緒の熱量をもって仕事できる人間でなければ傑作は生まれないという
私自身の制作哲学がありまして。その方針に従うと、どれだけ著名な原画家さんであっても社外外注さん
という時点で候補から外れてしまうんです。
さらにご存じの通りDeepOneは老若男女わけ隔てなく上手に描いてもらう必要がある上に
新本格バトルの通りアクションこそ得意としてもらわないといけない。 |
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この時点で、かなりの数の美少女ゲーム原画家さんは候補から外れますね。 |
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【P.i.P】 ・たしかに。美少女ゲームは可愛い女の子をどれだけ可愛く描けるかが勝負でからね。 |
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で、ネクストン社内の原画家さん全員を見渡した時、ああもうこの人しかいない!と
一目惚れしたのが夏彦さんだったんです。
可愛い女の子はもちろん、カッコイイ男も素敵なジイ様も魅力的でアクションもいける。
そんな人が同じ会社にいるなんて、まさに奇跡だ! と思ったものです。 |
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もともと老若男女いろいろ描くのが好きなので
DeepOneならいろいろ描かせてもらえるぞ!と思い立候補したんです。
社員であれフリーであれ、ディレクターの作りたいものを絵にするのが原画家ですから
それなのに「男描きたくない!ジジイ描けない!」ではお話になりません。
「何でも描きます!」と堀ノ内さんに言いましたし、今でもずっと言ってますね(笑) |
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【P.i.P】 ・企画者である堀ノ内さんたっての指名の上
指名された夏彦さんも自分から立候補されたなんて、まさに最高の関係ですね!
そんな夏彦さんにお聞きしたいのですが、DeepOneの原画を制作するにあたってこだわった点
ユーザーさんに届けたい点はどこでしょうか |
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バトルシーンでも、女の子キャラは顔をアップで見せて、可愛いポーズで……という
あくまで可愛さを外さないのが、良くあるバトル風美少女ゲームの法則だと思うんですが
今回望まれているのは〝風〟ではなくガチの〝新本格バトル〟ということで
そのへんのお約束を無視して必死で戦ってる感を第一にしました。
それでいて一枚絵として気持ちいい構図でありつつ、なおかつそこからキャラ単位でバラしても
使い勝手のいいポーズを……などなどいろいろ考えながら描きました。
ですけど、すごく大変だったか……というと、そんなに難しかったわけでもないです(笑)
堀ノ内さんや月織さんたちと、すぐになんでも相談できる環境だったので
とても進めやすく描きがいがありました。
そんなわけで「必死で戦う女の子(男も)ってイイな!」と思っていただけたら何よりです。 |
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【P.i.P】 ・なるほど、原画だけでも大変なこだわりがあるんですね。
こだわりと言うと演出周りも1年以上かけた相当のものだとか。 |
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本当に笑っちゃうほど相当ですよ(笑)
今日日、演出とスクリプトに1年以上かけるメーカーさんなんてそうはないと思います。
そもそもDeepOneなみの本格バトルでもない限り、そんな仕事必要とされませんから。 |
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そして1年でも足りないくらいっていうね(苦笑) |
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あんな作り方してたら当然ですよ。
だってアニメのような動画コンテまで切ってるんですから(苦笑) |
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【P.i.P】 ・DeepOneはPCノベルゲームだと思いますが、制作するにあたって動画コンテが必要なのですか? |
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ええ。ですけど、もちろんアニメそのものを作るためではありません。
迫力のバトルシーンをどのように表現するのか、コンテ段階からディレクター、原画、スクリプト担当らと
額を付き合わせて、あーでもない、こーでもないと試行錯誤を繰り返しているのです。
普通、美少女ゲームの多くは先に素材発注をかけておき、できあがったものをスクリプト担当にお渡しして
「いい感じに組んでください!」とお任せするのが一般的な流れとなります。
ところが本作はまったくの逆で、まず絵コンテと演出ありき。つまり演出側に発注権があるんですよ。
まずは初期絵コンテを切るところから始まり、仮素材でスクリプトを組んで演出ラフを作ります。
実機上で演出ラフを見ながら、さらに映えるように必要な素材を検討し、必要であれば新規に発注をかけ
その後、本番用の詳細絵コンテを切り、その内容にそってまた新たにスクリプトを組みます。
実機上で再度演出を見ながら、さらに映えるように必要な素材を検討して、発注して……
という工程を延々延々と繰り返し、可能な限りバトルシーンのクオリティーを上げていくと。 |
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【P.i.P】 ・あの迫力のバトルシーンはそのように作られているんですね!
ですが、そのぶん─── |
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そうです。尋常じゃないトライ&エラーを繰り返してますし、絵素材の追加発注も天井なしです。
こんな仕事、普通のクリエイターさんにお願いしたら、絶対に逃げられちゃいますね……(苦笑) |
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描きますよ! どれだけ発注きたってぜんぶお応えしますよ!(笑) |
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【一同】 笑 |
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その上、通常の美少女ゲームじゃまず使わないような、専門の動画制作ソフトなんかも
じゃんじゃん投入してますから。 |
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ハリウッド映画でも目指しているのか!って錯覚しそうになりましたよ(笑) |
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今までのネクストンの開発室では見たこともない、すごそうな動画制作ソフトを
ハイスペックPCでぎゅんぎゅん動かしてますものね。 |
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【P.i.P】 ・そうなんですか?
では演出担当の月織さんは、普段のゲームでは使用しないその専門的な技術をどこで磨かれたんですか? |
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プライベートですね。いつか今よりも専門的な仕事を求められたとき、もしくは今の技術だけでは
袋小路に入ってしまう……という危惧から、常に最新の技術は触れておく必要があるなと。 |
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伏して研いでいた伝家の宝刀が、DeepOneというタイトルでまさに抜かれたわけです。
本当に今あらためて聞いても月織さん、夏彦さんと一緒に制作できたのは奇跡だと思いますね(笑) |
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【P.i.P】 ・まさにこれ以上ない、奇跡のベストメンバーがそろったというわけですね。
これは期待がいや増すばかりです。 |
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照れます(笑) |
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そんな月織さん渾身の演出が、近く体験版で触れられますので、皆さんにぜひプレイしてもらいたいですね。 |
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【P.i.P】 ・それは待ち遠しいですね! たしか発表日は7月13日(金)予定でしたか。 |
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はい、7月13日17時発表予定ですね。このインタビューが発表された1週間後くらいでしょうか。
そう考えると、もうすぐ皆さんに遊んでもらえますね。
作り手側としても、はやくあのハイクオリティのバトルシーンを皆さんに体験してもらいたくて
ウズウズしてます(笑) |
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【P.i.P】 ・こんなにも作り手側の熱意がこもった作品が、こうして美少女ゲーム業界でまだ生まれることに
個人的にも嬉しく思います。ぜひ、この熱量で業界に新しいムーブメントを起こしていただきたいです! |
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ありがとうございます。お陰様で社内スタッフだけではなく、歌手様、声優様、各外注様、雑誌社様、
取引様、同業他社様、なによりも、ユーザーの皆様からの多くのご支援、応援いただいて、今この瞬間にも
DeepOneはどんどん大きく成長をしていってます。
そして、そのご期待に必ずや応えるために、メンバー一丸となって最高の作品をお届けします。 |
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新本格バトルビジュアルノベルDeepOne、ぜひご期待ください! |
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